展 示

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■2008年 コスモス祭
ようこそ赤毛のアンの世界へ

 2008年12月12日(金)まで図書館2階ロビーで開催中


1  はじめに
2   翻訳くらべ
3   19世紀末のプリンス・エドワード島の暮らし
4   L.M.モンゴメリの生涯
5   再現、アンの部屋



1.はじめに
 2008年コスモス祭では、『赤毛のアン』出版100周年を記念して、“ようこそ赤毛のアンの世界へ”と題し、『赤毛のアン』をテーマとした特別展示を行いました。
 原書はもちろん、たくさんの翻訳本を読み比べることにより、翻訳によって作られる「アン」の印象の違いを比較展示します。これは実際に現物を並べることができる図書館ならではの催しです。
 またプリンス・エドワード島の写真集、19世紀末のカナダの歴史、文化に関する多くの本、さらには当時の実物展示も加え、アンの暮らしを再現する試みも行いました。
 

 
2.翻訳くらべ
 「赤毛のアン」は1952年に村岡花子訳が出版されて以来、世代を超えて愛され続けてきました。その後村岡花子以外にもたくさんの翻訳家に訳され、いろいろな出版社から出版し続けられています。もともと一つの作品が、解釈や時代の変化などによってかなり趣きの違ったものになっています。
 このコーナーではそれらの違いを「翻訳家による違い」「古い訳と新しい訳」「一般・児童向訳の違い」「挿絵に見るアンの印象の違い」の4つの視点で比較、展示しました。それぞれの違いに驚かされます。
 また小説の中にはアンが読んだ本がたくさん出てきます。それらの本を集めて展示しました。

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3.19世紀末のプリンス・エドワード島の暮らし
  『赤毛のアン』の舞台となったのは、1890年代のカナダ東海岸のプリンス・エドワード島で、作者モンゴメリ自身の子ども時代を設定しています。
 プリンス・エドワード島は、今でもアンがいるのではないかと思えるほど美しい自然が残されており、カナダ13州の中で最小の州、愛媛県ほどの大きさです。
 州都はシャーロットタウン。アンの住むアヴォンリーはモンゴメリが作った空想の村ですが、モデルとなったのはキャベンディッシュという北海岸の小さな村と言われています。
 小説とあわせて、赤毛のアンの生活様式は、日本人の関心を捉え、カントリーライフのお手本となりました。キルト、手芸、料理、ポプリ、ガーデニングなど、アンの暮らしにまつわる本がたくさん出版されています。
 それは、19世紀末のプリンスエドワード島の暮らしが、しっかりと大地に根を下ろした手作り中心の生活だったからだけではなく、料理や手芸が得意だったモンゴメリが、小説の中で細かい描写をしたために読者の心をとらえたからでしょう。

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4. L.M.モンゴメリの生涯
 『赤毛のアン』の作者、ルーシー・モード・モンゴメリの一生を、その著作とともに一覧にしました。母との死別や父との別れ、自然豊かなプリンスエドワードで祖父母と暮らしていたこと、また教師・郵便局員・新聞社と、当時の女性には珍しく卒業後すぐ家庭に入らず働くなど、活発なアンを創り上げたモンゴメリの片鱗がうかがえます。『赤毛のアン』が出版されたのは1908年、モンゴメリ34歳のときでした。
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5. 再現、アンの部屋
パッチワークキルト (1890-1900頃のもの)
Patchwork Quilts 
 (個人蔵)

 パッチワークキルトは、古くは王室のベッドルーム、カーテンなどに見られ、中流以上の裕福な人々でなければ、所有できなかった。しかし時代とともに一般家庭にも広がり始め、カナダでは19世紀後半に大流行した。
  『赤毛のアン』では、キルト作りはミセス・リンドが群を抜いて名手だと描かれている。ミセス・リンドが作るキルトのうち、最初に登場するのがコットン・ワープ・キルトで、「キルトを編む」と表現されているように、パッチワークキルトではない。これは木綿糸でかぎ針編みのモチーフを作りつなげたもので、1880年ごろプリンスエドワード島では盛んに作られた。

             
        
三つ編みマット
Braided Rugs  
(個人蔵)

 三つ編みマットは、アンがグリーンゲイブルズで最初に目にしたものとして登場している。
 三つ編みマットは実用的クラフトとして長い歴史を持ち、現在まで受け継がれている。特にデザインはなく、違った古布を細く切って三つ編みにし、全体を円形や楕円形にまとめている



型紙
Patterns


 上記写真ドレスは、『Patterns of fashion : Englishwomen's dresses & their construction / Written and illustrated by Janet Arnold . -- Macmillan, 1977』の中の、1890年代のドレスの型紙から図書館員が製作した。
 当時のドレスは、身頃とスカートが別れており、身頃の上からスカートをはくようになっていますが、今回は上下を一緒に縫って製作した。パフスリーブの分量が非常に多く、身頃に相当する分量である。また、袖は二重構造になっており、小さく短い袖を裏地のようにつけることにより、ギャザーでパフスリーブを形成している。
 当時はまだファスナーは使用されておらず、かぎホックとベルトで大変窮屈な洋服だったと想像される。

             
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