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[ルネサンス以後] |
ルネサンス以後、新知見の大量獲得によって、それらの体系的整理の必要が生じた。量的な増大に加えて、独特の項目分類と取捨選択の原則を特徴としている。また、各国近代語の形成期にあたっていたことから、国語辞典としての性格をも併せもつようになり、 百科事典とのあいだの中間的性格のものが出現した。 1658 年、コメニウスによる世界初の絵入り事典も刊行された。 |
『世界図絵』(せかいずえ) Orbis sensualium pictus / by Johann A. Comenius. -- ほるぷ出版, 1979. -- (複刻世界の絵本館 . オズボーン・コレクション) 資料ID:20551674 726.5||40||1 1階C3 1658 年に刊行された、世界初の子どものための絵入り百科事典。文字と絵を配した世界初の絵本とされる。チェコ出身の教育者コメニウス(1592-?)によって著され、天文、人体、自然、職業、徳目などを、素朴な木版画とやさしい文章で説明している。また、事柄の絵を個別に描くのではなく、風景画のようにまとめて描くのが特徴である。 |
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[18 ~ 19 世紀] |
18 世紀から 19 世紀にかけて、代表的な百科事典が各国ごとに編纂された。近代的事典の筆頭としては、イギリスの E.チェンバーズの《百科事典 Cyclopaedia 》2 巻、そのフランス語訳作成の目的で開始された、ディドロ、ダランベールらの手による《百科全書》全 28 巻は、ディドロによる序文にみられるように、明確な方法意識によって編集され、思想史上も重要な位置をしめている。
イギリス (のちアメリカに版権が移った) の《ブリタニカ百科事典》3 巻や、ドイツの《ブロックハウス百科事典》6 巻《マイヤー大百科事典》46 巻《ヘルダー百科事典》5 巻、フランスの《 19 世紀ラルース大百科辞典》15 巻などがこれに続いた。
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『百科全書』(ひゃっかぜんしょ) 百科全書: 序論および代表項目 / ディドロ, ダランベール編 ; 桑原武夫訳 --岩波文庫, 1971 資料ID:21472008 081||16||035-1 1階T6 フランス百科全書絵引 / ジャック・プルースト監修・解説. -- 平凡社, 1985 資料ID:21001109 035||1 3階R1 フランス 18 世紀の大百科事典。 (正式タイトルはL'Encyclopédie, ou Dictionnaire raisonné des sciences, des arts et des métiers, par une société de gens de lettres『一群の文筆家によって執筆された百科全書,あるいは科学・技芸・手工業の解説辞典』 本文 17 巻、図版 11 巻からなり、本文は 1751 年から1766 年にかけて、次いで図版は 1762 年から 1772 年にかけて,それぞれ刊行された。 本文の冒頭「序論」で、ダランベールは、『百科全書』は“人間知識の秩序と関連を可能な限り明らかにすること”と、“科学・技芸・手工芸の解説辞典”の2つの目的で作ったと記している。このことは神を中心としたそれまでの古い世界を否定することとなったので、この無信仰が企画当初から迫害の対象となった。しかしこの刊行は18世紀のフランス啓蒙思想の成果といえる。 |
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中国の文化を受容することによって国家を整えた日本では、中国の種々の字典や類書は早くから輸入され、用途に応じて使い分けられていた。 日本初の百科事典は、源順 (みなもとのしたごう) が醍醐天皇の皇女勤子内親王の求めに応じて編纂した《和名類聚抄(わみようるいじゆうしよう) 》10 巻 である。この書は、日本・中国の物名の語義と音訓を解説した辞書だが、全体が類書的(部門別)に編成されており、構成の面からみても百科事典的な性格をもっている。 平安時代になると《伊呂波字類抄(いろはじるいしよう) 》という、初のイロハ順配列の辞典が作られた。 |
和名類聚抄(わみょうるいじゅうしょう) 和名類聚抄古写本・声点本本文および索引 / 馬淵和夫著. -- 風間書房, 1973 資料ID:21265945 813.2||58 3階N12 倭名類聚鈔 : 眞福寺本 複製 / 源順著 -- 古典保存會, 1926.2 資料ID:20941390 910.8||20||13 1階T4 934年ごろ、源順(みなもとのしたごう)が撰述して成立。漢和対訳辞書としてはわが国最古のものであり、百科事典としての性質も兼ね備えている。十巻本と二十巻本の2種類があり、二十巻本は十巻本を増補したもの、あるいは十巻本は二十巻本の抄録という見方もある。出典を明らかにし、典拠に基づいて撰述された信頼に足る書物として、諸書に引用され、世に広まるようになった。 |
色葉字類抄(いろはじるいしょう) 色葉字類抄 / [橘忠兼著]. -- 巻上, 巻中, 巻下. -- 古典保存會, 1923.4-. (古典保存会複製書). 資料ID:20941352,20941369,20941376 810.24||9||25~27 1階T4 平安末期、橘忠兼(たちばなのただかね)が当時の日常語を集め、30余年費やして編纂。三巻三冊。イロハ順に並べられた最古の国語辞典で、語の用法を簡単に説明し、音・訓それぞれから必要な漢字が求められるように作られている。意味分類に「イロハ順」を加え、音・訓により必要な漢字が引けるので、辞書発達史における画期的な体裁とされている。 |
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[中世] |
中世に入ると、武家や庶民のあいだにもさまざまな知識が普及しはじめた。
鎌倉時代中期に作られた《塵袋(ちりぶくろ) 》11 巻は、和漢の古典や仏教に始まり日常生活にかかわるものまで、 620 の項目をとりあげ、それらの起源、典拠、語源などを平易な問答体で記述している。
また、中世の代表的な辞典である《下学集(かがくしゆう) 》や《節用集(せつようしゆう) 》は、類書的な編成をもち、広く百科事典的な役割も果たした。
室町時代ごろに成立した部首分類体の漢和字書《和玉篇(わごくへん) 》 3 巻は、室町時代から江戸時代にかけてたびたび改編増補して刊行され、《節用集》《下学集》と合わせて室町時代の代表的な国語辞書と称されている。
安土桃山時代最末期には、イエズス会のキリスト教宣教師により『日葡辞書』が作成された。日葡辞書は、当時のポルトガル語アルファベットで記述されており、室町時代末期~安土・桃山時代の風俗を知ることができる貴重な史料でもある。 |
『塵袋』(ちりぶくろ) 塵袋 / 大西晴隆, 木村紀子校注. -- 1.2 -- 平凡社, 2004.2. -- (東洋文庫 ; 723,725). 資料ID:30555495,30563148 080||3||434-1~2 3階Q文庫 鎌倉時代後期、文永~弘安 (1264‐88) 頃に作られた『塵袋』11 巻は,和漢の古典から日常生活にかかわるものまで620 の項目をとりあげ、それらの起源・由来・語源などを、文献を引いて、説明している。問答体になっているところが特徴である。著者は不明。 |
節用集(せつようしゅう) 第2章「節用集のいろいろ」で8種ご紹介 『節用集』は、室町時代の編纂であろうと思われる通俗国語辞典で、作者も未詳である。 全体の体裁は、イロハ順に並べたうえで、天地・時節・人倫・人名・官名・生類(畜類)・草木・財宝・光粉・数量・食服・支体・言語・雑用の項目に分けて語彙をまとめている。 江戸時代まで収録語彙を変えながら、繰り返し版を重ねていった。 |
和玉篇(わごくへん) 倭玉篇 / [出版社不明]. [出版地 : 京都]. 寛永五年. 登録番号 : 2179386 三-29 貴重 室町後期から江戸時代を通じて流布した字書。三巻。成立は室町初期かといわれるが、成立年・撰者ともに未詳。中国の字書『大広益会玉篇』にならって漢字を部首分類し、字音・和訓を片仮名で示す。多くの写本・版本があり、部首分類・配列の方式も多様である。 (三省堂『大辞林第二版』による) |
温故知新書(おんこちしんしょ) 温故知新書 / 大伴広公著. -- 白帝社, 1962. 資料ID:20154028 813.2||Oo 3階N11 1484年、大伴広公(おおとものひろきみ)が著した二巻三冊からなる辞書。従来の辞書がイロハ順であるのに対し、現在のように「五十音順」分類した最初のものである。 |
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日葡辞書(にっぽじしょ) 日葡辞書 = VOCABVLARIO DA LINGOA DE IAPAM. -- 清文堂出版, 1998. 資料ID:30344518 869.3||1 3階U2 (コリャード自筆)西日辞書 : 複製・翻刻・索引および解説 / 大塚光信 ; 小島幸枝編. -- 臨川書店, 1985. 資料ID:20993504 810.24||9 3階U2 日葡辞書は1603年-1604年にかけて長崎で発行された、日本語をポルトガル語で解説した辞典である。キリシタン版(日本イエズス会が布教のため持ち込んだ印刷機で天草・長崎などで活字印刷されたもの)で、約32,000語の日本語がローマ字表記でアルファベット順に並んでいる。日葡辞書をスペイン語訳した日西辞書(1630)がある。室町から安土桃山時代の日本語の発音・意味を知ることもできる。 |
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[近世] |
江戸時代は、社会的な変動が少なく、文治的な政治が進められたために、学芸の発達は著しく、武士・庶民の知的関心も高まった時代であった。 17 世紀の後半に編纂刊行された中村朽斎 (てきさい) の《訓蒙図彙 (きんもうずい) 》20 巻は、日本最初の挿絵入り百科事典として広く用いられた。 また、近世の百科事典を代表する寺島良安の《和漢三才図会(わかんさんさいずえ) 》105 巻が現れた。良安は、明の図入りの類書《三才図会》にならい、 30 年を費やして 1713 年 (正徳 3) にこれを完成させた。近世前期の上方文化のなかから生まれたこの百科事典は、精巧な木版の技術や出版の盛行に支えられ、明治以降も活版で刊行されている。 |
『和漢三才図会』(わかんさんさいずえ) 和漢三才圖會 / 寺島良安編 ; 上・下 --東京美術 , 1970 正徳3(1713)年序刊本の影印 資料ID:20185855,20185862 031.2||Te||1~2 3階R4 明の『三才図会』に倣った江戸時代の図入り百科事典。 全体は105巻81冊に及ぶもので、編者である大坂の医師寺島良安は30年の歳月をかけて1712年に完成させた。古今にわたる事物を天文・人倫・土地・山水・禽獣・草木など80余部門に分け、図解し、必ず和・漢の事象を並べて記しているところが特徴である。 |
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2.節用集のいろいろ | |
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『節用集』は、室町時代の編纂であろうと思われる通俗国語辞典で、作者も未詳である。 全体の体裁は、イロハ順に並べたうえで、天地・時節・人倫・人名・官名・生類(畜類)・草木・財宝・光粉・数量・食服・支体・言語・雑用の項目に分けて語彙をまとめている。 江戸時代になると、書肆(本屋)は、いろいろな工夫を凝らし始める。収録語数が増え、厚みがだんだん増していく一方、横長や懐中用なども作られた。 |
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もうひとつは、検索方法がどんどんと開発され、今までの意義による分類ではなく、仮名数で引けるように工夫された。例えば「犬」ならイのニのところを見る。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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