神戸女子大学・神戸女子短期大学   須磨キャンパス図書館

 

               

展 示

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■2023年度   Autumn
       文字遺産集成 

 当館所蔵の『文字遺産集成:Heritage of writing』は、人間の文字の 歴史を、各時代を代表する文字と書写材料の実物で見ることのできるコレクションです。
 楔形文字が刻まれた粘土板や、エジプトのパピルスや『死者の書』、西ヨーロッパの典礼書や法廷の手書き文書など、約20点を展示いたします。
文字の歴史に浸ってみませんか?
 
〇文字遺産集成 : Heritage of writing. -- 雄松堂書店
 資料番号:30498402 / 請求記号:801||Mo / 所在:貴重   


◆世界最古の文字体系は、メソポタミアの楔形文字であると考えられています。その名の由来である楔形の窪みは、湿った粘土板に三角形の尖筆を用いた結果生じたものですが、石など、粘土以外の媒体に記された場合にもその独特の形状を保っています。

1. メソポタミア時代の文字の例
A. シュメールの楔形文字が刻まれた粘土板の経済文書
  メソポタミア ウル第三王朝時代 紀元前2040年頃
紀元前3500~1700年頃に南メソポタミアで活躍したシュメール人が発明したと推定される楔形文字の例です。

B. 新シュメールの楔形文字が刻まれた粘土円錐
  紀元前2120年頃
  GudeaによるLagash統治時代のNingirsu神殿建設を祝う奉献文です。

C. 古バビロニア語の楔形文字入り円筒印章
  南メソポタミア 古バビロニア時代 紀元前1900-1700年頃
  二人の女神と崇拝者の絵が描かれ、バビロニア語の楔形文字で持ち主を記した2行の碑文が刻まれています。


◆古代エジプト文字もまた、形状は筆記媒体と関連しています。楔形文字の必然的に角張った形状に比べ、パピルスに葦ペンで書かれたエジプト文字はより滑らかな形状をしています。パピルスと葦ペンによるこの記録法は、後の中世・現代における筆記法の原型となりました。

2. エジプト象形文字の例
  エジプト 新王国時代 紀元前1200年~紀元2世紀頃
  初期エジプト文字を代表する、絵文字と表音文字の組み合わせからなる象形文字です。

3. エジプト神官文字の例
  エジプト メンフィスまたはファユーム 紀元前4世紀~紀元2世紀頃
  神官文字は、象形文字を簡略化したもので、神官らが記録を取るのに用いられました。

4. エジプト民衆文字の例
  エジプト 紀元前7世紀~紀元2世紀頃
  民衆文字は神官文字をさらに簡略化したもので、行政・商業上の記録に用いられました。


◆ギリシャ文字はローマ文字のもととなった文字です。ギリシャ文字ははじめ、エジプトの三種類の文字を含む古代のほとんどの筆記体系と同様に、右から左へ書かれました。しかし、紀元前500年頃から左から右へ書かれるようになり、この筆記方法はラテン語、およびラテン語から派生したヨーロッパ諸語の文字に受け継がれました。

5. コプト文字の例
  エジプト (紀元)4~7世紀頃
  古代エジプト語から派生したコプト語でパピルスに書かれた、商業文書の断片です。

6. ギリシャ語の例
  エジプト (紀元)2~6世紀頃
  パピルスに筆記体のギリシャ文字で書かれた商業文書の断片です。

7. アラム語の例
  シリア (紀元)1~3世紀
  アラム語は、イエス・キリストの時代に聖地エルサレムで話された言葉です。

8. ササン朝の文字の例
  古代ペルシア (紀元)224~650年
  名前が入れられた、ササン朝ペルシアの印章です。

9. ブラーフミー文字の例
  バーミヤン (紀元)2~5世紀
  ブラーフミー文字は後の多くのインド文字の基礎となりました。


◆ローマ帝国の広大な支配圏に入り、事実上西ヨーロッパの全部がローマのアルファベットを採用することになりました。この時代には、巻物から冊子本への移行、筆記材料としてのパーチメントやヴェラムなどの獣皮の採用、葦ペンや筆から羽根ペンへの移行など、後代まで保たれる筆記法の重要な変化が起こっています。

10. 西ヨーロッパの典礼書断片
A. 教父時代の文書から採られたカロリング朝後期の文字例
  スペイン 10世紀
  カール大帝のもとでローマ字体を標準化する運動が行われると、そこでカロリング小文字体が生まれました。

B. シトー修道会の筆写体
  フランス ブルゴーニュ シトー修道院 1150年頃
  ヴェラムにシトー修道会のロマネスク体文字で書かれたラテン語文書の一部です。

C. イタリアの写字生による小型聖書の一葉
  イタリア ボローニャ 1250年頃
  ラテン語でヴェラムに書かれており、赤と青による頭文字や欄外装飾が入れられています。

D. パリの写字生による聖書の一葉
  パリ 1250年頃
  黒インクのゴシック体で書かれています。章題および行末装飾には赤と青のインクが用いられ、ペン装飾が施されています。

E. イギリスの写字生による詩篇集の一葉
  イギリス 14世紀
  黒インクで角ばったゴシック体の文字が書かれています。青インクと磨かれた金箔による頭文字が多数書かれています。

F. フランスの写字生による時祷書の一葉
  フランス 15世紀中葉
  褐色インクにより、ゴシック体で書かれています。磨かれた金箔を用いた頭文字の周りにはアカンサス葉と花模様の縁飾りが施されています。

11. 14~15世紀の西ヨーロッパ法廷の手書き文書
A. エドワード四世時代の法廷文書
  イギリス 1477年
  1477年の日付入り証書です。法廷書体で書かれています。

B. エリザベス一世時代の法廷文書
  イギリス 1599年
  英語の委任状で、署名および封印入りです。
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